2012年11月04日

俳ラ19 二番、「墓碑銘─エピタフ」 葛原りょう


疑ってないよ俺を世界を
花に口笛 俺は遅れて来た男
すべて当日、三倍の速度でごめんなさい

苦し紛れのセ・ラ・ヴィが軽い
雲のようだ迷うほどパリ
セ・ラ・ヴィと別れた金を借りたままhl19140.JPG
中指の話せばずいぶん長くなる
みんないらない中指が長い
泥水すするだけ光る薬指
薬指折る魂は別な場所
多次元の鏡だ俺がもう三人
鏡には傘 裏も表も濡れてゐる
割れない鏡 雪の下に仕舞う
幸せが余る鏡の割れてゐる

えいひれ盗んで雷ひとつ
かっぽれかっぽれ石を蹴る
夢を輪切りに働き、働く
感覚が宇宙で困るバス停で
絡まっても絡まっても鎖
とぐろ巻きすぎた
なかなかの仙人掌だ棘がない
仙人掌の遊星となってゆく雫
仙人掌の枯れるから棘立ちぬ
ニンゲンなど知らない仙人掌の花
全力でジャングルジム擦り傷も複雑hl19148.JPG
ひとりで親分
大政小政の猫おれの飯まで喰う
猫や猫、さびしい時に呟けり

がまんのガンマンもういいよ
ごめん、地球じゃ間に合わないんだ
世界すべて俺のもの宇宙なんて庭
となりの銀河で俺は金持ち
Mixiも聖五月にも加わらず
俺の弱気がなぜか強気だ
引退の無い詩人ほど迷惑
朝だものマーガリンでいいよ

前頭葉が海に溶けてゆく
内臓、食い千切る食い千切るかみきり虫
地球のかんざしのやうだ彼岸花
ひぐらしの鳴きはじめたらもういない
しらさぎの少し汚れたとこが秋
赤錆のレール緑の素足で歩く
月に咲いた曼珠沙華の話をしやう
せんだっては狼
雲は神様の乗り物
火を接いでラムプの中に眠りゐる
心臓の打つがラムプの灯火や
死ねば洋燈の燈りだす
隙間いっせいにしゃべりだす
蓮根の穴のむかうは千年後の地球
とかげの尾っぽのやうには生きれない
鬼 否。き、き、き、と蟲
後悔を丸めてはそっと放ちやる
統廃合を何回重ね秋の私か
俺は傘 あなたの雨に向かう傘
前頭葉が鬼の角になってゆく
挙手それぞれの挙手、ほうたるほたるhl19132.JPG
擦傷の花を手折って日暮れが近い
擦り傷の眼で言う言葉呑みこむ
絶望を終わらせてくれ鳥帰る
かみなりや罪深きから先ず落ちよ
太陽は最後の食事 鳥帰る
光たたんでいる
夢の中で二人、摘草してました
りんだうで告白してもいいですか?
梅雨入りのハローワークに火をつける
全力でジャングルジム擦り傷も複雑
一家離散取り残された五目寿司
あたし白玉だから赦して

折り返し地点の母が立ちはだかる
折り返し地点の父の眠り方が涅槃
折り返し地点のメガネ洗浄器
折り返し地点の木刀振っても振っても一人
折り返し地点の切腹ほど迷惑
折り返し地点の介錯人探す
折り返し地点のレンゲ畠です
明日からはレンゲ畠を住所とす
折り返し地点の…



葛原りょう(高坂明良)

詩人・歌人・俳人。東京都三鷹市出身。
趣味は酒とガンダム。7歳より不登校を始める。
釣りと文学と宮崎駿とちばてつやと愛に目覚める。
共同体「新しき村」で2年半の農業生活を送る。
親友を亡くし朗読を開始する。「こわれ者の祭典」に出演。
現在は朗読絶唱バンド「ムジカマジカ」のVocalist。
歌人・福島泰樹氏に師事。「月光」会員。生息地域は谷中霊園近辺。
詩集に『朝のワーク』『魂の場所』。大衆文藝「ムジカ」創刊予定。

posted by 二健 at 08:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 朗読作品 | 更新情報をチェックする
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